死の五重奏とは―睡眠時無呼吸症候群とメタボリックシンドロームの関係―
最近、新聞・テレビなどで盛んにメタボリックシンドロームという言葉が報道されています。メタボリックシンドロームとは、どういうものでしょうか。
日本人の三大死因はがん、心臓病、脳卒中ですが、心臓病と脳卒中を合わせた循環器病を引き起こす原因は「動脈硬化」です。
「動脈硬化」の危険因子といえばコレステロールが有名ですが、最近の研究では、肥満(特に内臓のまわりに付着した脂肪)がさまざまな生活習慣病を引き起こし、より「動脈硬化」になりやすいことがわかってきました。そのキーワードとなるのが『メタボリックシンドローム』です。
「メタボリックシンドローム」という考えが誕生したのは、生活習慣病によって進行する動脈硬化性疾患(心筋梗塞及び脳梗塞)を未然に防止するためです。心筋梗塞及び脳梗塞を発症すると重篤な事態に陥り、死に至ることもあります。また癌に次いで日本で多い死亡原因が動脈硬化性疾患なのです。動脈硬化性疾患は壮年期に発症することが多く、後遺症も深刻です。働き盛りの家族が動脈硬化性疾患に倒れることのダメージは計り知れません。この動脈硬化性疾患を前段階で治療するために、メタボリックシンドロームという概念が誕生したのです。

高血圧症患者は全国で約3500万人とも言われ、高血圧はまさに国民的疾患です。高血圧症の90%は本態性高血圧症と言われ、生活習慣に関与したものです。二次性高血圧症は体の中にはっきりとした原因があるものです。
SASと高血圧は関連性が強く、高血圧の陰にはSASが潜んでいることも多いのです。
なぜSAS患者は高血圧を起こすのでしょうか?
現在有力な説は次のような機序です。
夜間の頻回の覚醒
→交感神経の亢進
→短期覚醒直後の一過性の血圧上昇
→無呼吸と短期覚醒に伴う血圧変動による夜間睡眠中の高血圧
→夜間高血圧を伴う血圧変動が日中の高血圧合併に関与
海外での研究では、同じ体重でもSASの人は健康な人に比べて約3倍高血圧になりやすいというデーターがあります。
日本でも循環器の先生方を中心に、SASと高血圧の関連性に注目する先生方が増えています。