生活習慣の改善だけで、治りますか?
生活習慣の改善だけで睡眠時無呼吸症候群が治ることは、多くありません。とくに中等症から重症の方では、CPAPなどの治療が必要になります。
ただし、気道が狭くなる要因を減らしておくことには意味があります。治療の効果が出やすくなり、必要な空気の圧が下がることもあります。治療と並行して取り組んでいただくものとお考えください。
また、軽症で症状がない方の場合、まず生活習慣の改善をしながら経過を見ることがあります。その判断は、検査の結果をふまえて行います。
体重
首まわりの脂肪が気道を圧迫します。もっとも影響が大きい要因のひとつです。
飲酒
のどの筋肉をゆるめ、無呼吸を悪化させます。とくに就寝直前の飲酒は影響が大きくなります。
睡眠の姿勢
あお向けでは舌の付け根が落ち込みやすくなります。横向きで軽くなる方がいらっしゃいます。
鼻づまり
鼻で呼吸できないと口が開き、気道が狭くなります。治療でCPAPも使いやすくなります。
体重を減らすと、どう変わりますか?
首まわりに脂肪がつくと、外側から気道が圧迫されます。体重が減ることで、いびきや無呼吸が軽くなる方は多くいらっしゃいます。
ただし、効果の出方には個人差があります。あごの骨格が小さい、扁桃が大きいなど、体重以外に原因がある場合は、減量しても十分に改善しないことがあります。
また、睡眠時無呼吸症候群があると、日中の眠気や疲労感から活動量が減り、体重が増えやすくなります。無呼吸と体重は、お互いを悪化させる関係になりやすい点にご注意ください。治療で眠気が改善したことをきっかけに、体を動かせるようになる方もいらっしゃいます。
短期間で急に体重を落とすことは、体に負担がかかります。続けられる範囲で、少しずつ取り組んでください。他のご病気で通院されている方は、かかりつけの先生にもご相談ください。具体的な進め方については、診察の際にお尋ねいただければご説明します。
お酒は、飲んではいけませんか?
禁酒していただく必要はありません。ただし、お酒を飲んだ晩は、いびきと無呼吸が強く出ます。
アルコールには筋肉をゆるめる働きがあり、のどのまわりの筋肉も例外ではありません。ふだんは問題のない方でも、飲酒した晩だけ大きないびきをかくことがあります。また、寝つきはよくなる一方で、睡眠の後半で眠りが浅くなり、夜中に目が覚める原因にもなります。
お酒とのつきあい方
- 就寝の直前ではなく、時間を空けて飲む
- 寝つきをよくするための「寝酒」は避ける
- 飲んだ晩は、横向きで眠るようにする
- CPAPをお使いの方も、飲酒した晩こそ装着してください
「寝酒をすると眠れる」と感じている方は少なくありませんが、それは眠りが深くなっているのではなく、意識が落ちているだけのことがあります。習慣になっている場合は、診察の際にお伝えください。
寝る姿勢を変えると、いびきは減りますか?
減る方がいらっしゃいます。あお向けでは、重力で舌の付け根が落ち込み、気道が狭くなります。横向きになると、その落ち込みが軽くなります。
検査では、体の向きも同時に記録しています。あお向けのときだけ無呼吸が出る方と、向きに関係なく出る方がいて、前者の場合は寝る姿勢の工夫が効きやすくなります。ご自身がどちらかは、検査結果でご説明します。
横向きを保つ方法としては、背中側にクッションを置く、抱き枕を使うといった工夫があります。ただし、眠っている間に姿勢は変わるため、これだけで解決することは多くありません。
枕の高さも影響します。高すぎるとあごが引けて気道が狭くなります。ご自身に合う高さは、実際に試してみるほかありません。
鼻づまりは、放っておいてよいですか?
できれば治療をおすすめします。鼻で呼吸できないと口が開き、舌の付け根が落ち込んで気道が狭くなります。鼻づまりは、いびきと無呼吸の両方を悪化させます。
また、CPAPをお使いの方にとっては、鼻がつまっていること自体が治療の妨げになります。鼻の治療を行うことで、CPAPが使いやすくなり、必要な圧が下がることもあります。
アレルギー性鼻炎、鼻中隔の曲がり、慢性的な副鼻腔炎など、原因はさまざまです。当院で対応できる範囲はお薬による治療で、手術が必要な場合は耳鼻咽喉科と連携します。市販の点鼻薬を長く使い続けると、かえって鼻づまりが悪化することがあります。長期間お使いの方は、一度ご相談ください。
市販のいびきグッズは効きますか?
口テープ、鼻腔拡張テープ、いびき防止枕など、さまざまな製品があります。原因と合っていれば、いびきが軽くなることはあります。
ただし、これらはいびきという「音」への対処であって、呼吸が止まっていること自体を解決するものではありません。ここが重要な点です。
市販品を使う前に、確認していただきたいこと
- 鼻がつまっている状態で口テープを使うと、呼吸がしにくくなります
- テープを貼っても、いびきが止まらない場合は別の原因があります
- いびきが止まっても、日中の眠気が残る場合は無呼吸が隠れている可能性があります
- ご家族から「呼吸が止まっている」と指摘されている方は、市販品で様子を見ないでください
市販品を試して解決しなかった方は、受診にもっとも近い段階にいらっしゃいます。原因がいびきの音ではなく、気道がふさがっていることにある可能性が高いためです。一度検査をお受けになることをおすすめします。
今日から始められること
- 就寝直前の飲酒を控える
- 横向きで眠ってみる
- 枕の高さを見直す
- 鼻づまりがあれば、そのままにしない
- 体重の変化を記録しておく(受診の際の判断材料になります)
これらを試しても、いびきや日中の眠気が変わらない場合は、生活習慣以外に原因があります。検査でご確認ください。
当院では、一晩の入院でくわしい検査が受けられます
睡眠時無呼吸症候群の診断には、睡眠中の呼吸・血液中の酸素・脳波などを同時に記録する精密検査(PSG/終夜睡眠ポリグラフィー)が必要です。当院では院内の検査室でこの検査を実施しています。
- 火・水・木・金の夜間に検査枠をご用意しています
- 18時頃までにご来院いただき、翌朝6〜7時頃にご退院いただけます
- お仕事や学校を休む必要がありません
- 検査・治療とも健康保険が適用されます
